体性感覚−表面感覚−2点識別閾の測定
方 法
概 要
- 被験者は閉眼する
- 検者は、デバイダの間隔を大きく広げ、被験者の測定部位(本文を参照)をデバイダの先端を用いて二点同時に刺激する
- 以下を順次繰り返す
- 被験者が「二点を刺激された」と応答したときは、検者はデバイダの間隔を現在の80%程度に狭めて次の刺激をおこなう
- 被験者が「一点を刺激された」と応答したときは、検者はデバイダの現在の間隔(mm)を「2点識別閾」として記録する
- 同一の測定部位と測定条件(本文を参照)について、3回の測定を繰り返す
進め方・一般的な注意
- 被験者は、刺激の際の視覚情報を遮るため、閉眼するか、アイマスクを装着する
アイマスク装着後は、転倒による事故を防ぐため、立ち歩かない
- 周囲は静粛を保ち、被験者が実験に集中できるよう配慮する
測定部位
以下に示した部位を、順番に調べる。
- 手 背
- 下 唇
- 腓腹(ふくらはぎ)
- 示指の指先
- 上腕外側部
測定条件
以下に示した2つの条件のうち、「縦軸条件」で刺激する。
- 縦軸条件
- 直立した際に垂直となる方向(脊椎や、四肢の長骨に沿う方向)を「縦軸方向」と呼ぶ。縦軸条件では、デバイダの向きを縦軸方向に合わせる
- 横軸条件
- 縦軸方向に直交する方向を「横軸方向」と呼ぶ。横軸条件では、デバイダの向きを横軸方向に合わせる
測定手続き
- 学籍番号順に2人1組のペアを作る(一方を「検者」、他方を「被験者」とする)。検者と被験者は適宜役割を交替し、全員が自分自身のデータを得る
- 被験者は閉眼する
- 検者は、被験者の測定部位をデバイダで刺激する。このとき、
- 最初の刺激では、デバイダを大きく広げて※、被験者が「明らかに二点を刺激された」と分かる間隔を作る
※ 測定部位や測定条件により異なる(例えば、手背ならば50 mm、口唇の縦軸条件ならば5 mmなど)
- デバイダの両端で同時に刺激する
- 刺激圧は、皮膚が少しへこむ程度に揃える
- 刺激持続時間は約2秒とする
- 刺激後、検者は被験者に「今の刺激を二点と感じたか、一点と感じたか」を問う
- 被験者が「二点」と回答したら、検者はデバイダー両脚の幅を少し狭くして(現在の間隔の80%程度)、次の試行に移る
- 被験者が「一点」と回答した場合には以下の手続きを繰り返して「判断のゆらぎ」が無いか確認する
- デバイダ間隔をわずかに増減(現在の間隔の±5%程度)して二点を刺激する
- デバイダの一端のみによる「ダミー刺激」を加える
被験者の判断にゆらぎが無ければ、そのときの間隔を「2点識別閾(mm)」とする。ゆらぎがあれば、更に試行を続ける
- 次項にしたがい、繰り返しをおこなう
繰り返し
同一測定部位および同一条件について、3回の繰り返しをおこなう。実験の順序は以下に示す通りとする
- 「手背」について3回繰り返す
- 「下唇」について3回繰り返す
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測定値のチェック
各個人の2点識別閾は、測定部位および測定条件ごとに平均値を求める。これらの平均値について、「すべての測定値のうち最大値/同、最小値」という比を算出する(最小値が「0 mm」だった場合は、除算ができないので、便宜的に「0.1 mm」として計算する)。
算出された比が「10」を超えない場合には教員に相談して指示をあおぐ。
実験データの記録
「1被験者の1部位に関する3記録」はまとめずに使う
どのようなデータを幾つ記録しなければならないのかを事前によく検討し、予め記録用紙を準備する。
記録は、事前に作成した記録用紙に記入しても良いし、Excel ワークシートに入力しても構わない。但し、グループデータを取りまとめる際に他人に見せるものであるため、わかりやすく工夫する必要がある(ノートの片隅に数値だけを殴り書くなどは論外である)。
なお、記録用紙に関しては、事前に書式をクラス全体で検討し、同じものを使用して一向に構わない。