生理学実習U

ガイダンス

全体構成

先に学んだ「生理学実習T」では、「感覚機能」「循環・呼吸機能」「運動機能」など生理学全般に関わる内容を広く扱った。これに対して、今回の「生理学実習U」では、「神経生理学」および「筋生理学」の内容が加わる。

  1. ヒトを対象とした実験では、皮膚感覚の「2点識別閾」を測定し、また、「表面筋電図」を記録・解析する。
  2. 動物(ウシガエル)を対象とした実験では、「神経の興奮と伝導」と「骨格筋の収縮」を調べる。「神経の興奮と伝導」では、複合活動電位を対象として各種神経線維群の伝導速度を計測し、また特徴的な「峰分かれ」現象ついて考察する。「骨格筋の収縮」では、坐骨神経-腓腹筋標本を用いて筋収縮の加重や強縮を観察する。
  3. 特に動物を対象とした実験においては、神経・筋生理学的実験に必要な装置(「信号記録・解析装置(PowerLab system)、電気刺激装置、張力検出装置」など)の使用法を理解する。
これら一連の実習を通じて、神経における興奮発生の機序、興奮伝導、効果器への興奮伝達、ならびに最終反応としての筋収縮およびその記録といった各段階を実験的に学習する。したがって、ガイダンスを含めた5回の実習は互いに密接な関連を持つので、その流れを十分に理解してから参加する必要がある。

本実習は、先の「生理学実習T」とは次の2点が異なるので、その差違を留意して履修する。

実験対象として動物(ウシガエル)が加わる
 生体機能の理解に、動物実験は欠かせない。動物を使用せずに目的を果たせれば最良であるが、学習する内容によってはそれが不可能である。このことは、人間が生きていくために、水や塩だけでなく、生きた植物や動物からも栄養素を得るのとよく似ている。すなわち、生体機能の知識を身に付けていく上で動物実験が果たす役割は、人間が植物や動物から得る必須の栄養素に相当しよう。動物実験をする者は、貴重な生命を奪って獲得する知識であるという点を十分に理解する必要がある。対象となる動物を念頭に置いて、実験から可能な限り多くの情報を得られるような予習を期待する。また、得られた結果の取りまとめにおいても、貴重な生命が無駄にならないような最大限の工夫を期待する。文字通り、「生きた」知識となるような努力をすべきと考える。
神経科学との科目間連携が図られている
 生理学と、密接に関連する神経科学とは、学習する時期を接近させて科目間連携を図る(連携の一環として、両実習は同じ班構成となる)。すなわち、「生理学実習U」においては神経機能の基礎的な知識を実験的に学び、「臨床神経学」と「神経内科学」においてはその臨床面を含めた発展的学習をおこなう。科目毎の断片的な知識ではなく、両者を有機的に繋げて生きた神経機能の学習として欲しい。


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