ガイダンス

課題(1) 機器の操作

実習Tでも使用した PowerLab について、理解が不足している場合には 基礎知識-PowerLabを参照する

Scopeによる電気刺激と記録

【目的】

「刺激時点から数秒程度以内生じる現象(例えば、活動電位や脳波など)」を詳細に記録する装置に「陰極線オシロスコープ」がある。PowerLab/Scope は、このオシロスコープに相同する機能をもつソフトウェアである。Scopeは、同時に、電気刺激装置の制御機能も有する。ここでは、Scopeを用いた電気刺激と応答の記録手法を学習する。

「電気刺激」をおこなう場合は、まず、刺激波の形状を決める。形状には「矩形波」「矩形の合成波」「サイン波」などがあるが、生理学実習では「矩形波」のみを扱う。矩形波の規定要因は以下のとおりである。
@刺激強度 (Amplitude):刺激電流の強さ(単位:mAなど)
A刺激持続時間 (Duration):刺激を続ける時間(単位:msなど)
B刺激回数 (Pulses):連続刺激の回数
C刺激間隔 (Interval):連続刺激のタイミング(1回目の刺激の終了時点から2回目の刺激の開始時点までの時間、単位:msなど)を表す

【材料と機器】

【手順】

今回は、ガイダンス時間に制限があるので、PowerLabシステムは既に結線されている(生理学実習Uの各実習項目では、結線も自分たちでおこなう)。

1) Scopeの起動
デスクトップの「Scope」というショートカット・アイコンをダブルクリックする
2) Scope画面の確認と時間軸の設定
 Scopeの画面は、横に大きく二分割されており、上側が第1チャンネル(以下、Ch.1)、下側が第2チャンネル(Ch.2)を示す。今回は、Ch.1でCR回路の応答を記録し、Ch.2で電気刺激をモニタする。
 Ch.2の下端には「期間軸」が描かれている。時間軸の左端の値は 0 s で、右端の値は画面右の [TimeScale]-[Time] に記さた値(掃引(そういん)時間)となる。「掃引時間」とは、Scopeで記録をおこなう期間であり、取り扱う現象に応じて変更する。掃引時間の上部にはサンプリング回数(Samples)が記されており、これも現象によって変える。
今回は、掃引時間とサンプリング回数を次のように設定する。
設定項目Scopeの項目名設定値解 説
掃引時間Time500 ms
サンプリング回数Samples640
計測レンジInput A Range2 VCh.1 のレンジ
Input B Range2 VCh. 2 のレンジ
※500 ms の間に640回のサンプリングをおこなう設定なので、サンプリング頻度は640/0.5 s = 1,280 Hz(約 1kHz)となる(→数学の基礎知識参照)。この 1 kHzが [Time Base] の右側に表示される。
3) 単発刺激のための設定
[Setup]-[Stimulator...] を選んで [Isolated stimulator] ダイアログを出し、以下のように設定する。
設定項目Scopeの項目名設定値解 説
刺激モードModePulse単発刺激とする
遅延Delay0 ms記録開始から刺激開始までの待ち時間
刺激持続時間Duration640 単位:ms
電圧レンジRange1 V電圧の上限
電圧Amplitude1.0電圧(単位:レンジと同一(V))
※ 今回は、明瞭な応答波形を得るために「定電圧」による「長い持続時間」の刺激を与える。次回以降に「生体標本」を刺激する場合には、標本の破損を防ぐために「定電流」で「短い(通常は 1 ms 以下)」刺激をおこなう。

設定後、[OK] ボタンを押す。
4) 単発刺激と記録
 電気刺激装置の前面にあるスイッチを「ON」側に倒し、Scope の [Start] ボタンを押す。すると、対象(ここではCR回路)に電気刺激が加わり、応答が記録電極を介してScope(Ch.1)に記録される。
 記録された波形は観察・解析しやすいだろうか?必要に応じて、以下のように設定を修正する。  記録を繰り返すと、画面左下の領域に数字が書かれたアイコンが増える。右から2番目の反転表示されたアイコンが「最新の記録」である。過去の記録を観察したいときは、対応するアイコンをクリックすればよい。
5) 記録の観察
 適切に設定し、観察しやすい記録が得られたら、結果を読み取る。波形を解釈する観点はいくつもあるが、代表的には などが挙げられる。マウス・カーソルを波形に重ねると、数値が画面上部の [Cursor] に表示されるので、利用するとよい。
6) 連続刺激のための設定
引き続き「連続刺激」をおこなうため、刺激条件を次のように変更する。
設定項目Chartの項目名設定値解 説
刺激モードModeMultiple連続刺激とする
刺激回数Pulses3
刺激間隔Interval640 ms
設定後、[OK] ボタンを押す。
7) 【提出課題】連続刺激の記録と解析
4), 5) と同じ要領で、6) の設定下で得られた記録の特徴や特性値をまとめる。課題は配布された用紙に記入し、学籍番号と名前を記入してその場で提出する。